極

文 出口胡蝶

字典『極』
(字典『極』)

先週に引き続きまして受賞作品の解説を、今回は倣書部門「極」についてです。
まず「倣書とは」?から解説いたします。

「倣書」は、もともとある名筆の字をベースに、創作へと移行させることを言います。
本来の古典の字の持つ品格や、時代の空気感を大事にしつつ作品としてのアイキャッチや、線で物語性を持たせ現代にも通じる書として生まれ変わらせることだと思います。

王義之喪乱帖「極」
(王義之喪乱帖「極」)

今回の私の作品は、王義之や、その流れをくんだ日本の三筆=空海、嵯峨天皇、橘逸勢。
三蹟=小野道風、藤原佐理、行成の書体の字形をベースにし、それにアレンジを加えていますがもともとの字形をあまり壊さずに書いています。
使用した道具は、筆は2本の筆を合わせて合筆で書きました。
墨は、古墨を使用し、線の重なった部分が分かる古墨ならではの立体感と、色の複雑さを表現しました。

出口胡蝶受賞作「極」倣書画像
(出口胡蝶受賞作「極」倣書)

今回受賞の一番の評価点は、俯仰法という筆法による筆の円転運動が、成功の鍵となりました。
この俯仰法は、王義之が開発した筆法で、習得する事が難しい至難の技と言えるため、私も相当な枚数を書き、やっとの思いで書いたという段階です。

古代ピラミッドの謎を解くように王義之が現れて以降、1700年も脈々と漢字文化圏で義之の技術を誰もが追い求めてきました。
その究極の書の秘密をもっと知り、これから作品を通して現代に伝えて行けたら良いなというのが私の究極の夢です。

心に残ったら、蝶にのせて。

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